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自分は薬のせいではないが、と胸中で謝るのを忘れない。
夢にまで見た健太のそれをやんわりと掴み、自身と擦り合わせた。甘美な痺れが全身を走り抜け、危うく達しそうになる。
「慣れてる、な」
「まさか。いっぱいいっぱいだよ」
二人分を高めるのは難しい。手から溢れそうになるし、自分ばかり良くなっても意味がない。
ちらりと伺った健太は時折息を乱すから、悪くはないはずだ。
――このままヤリタイ。
それはまたの機会にするとして、蒼は気を取り直しててに集中した。
二人分の先走りがいやらしい水音をたてる。溢れそうな熱を支え、蒼は腰を前後に軽く揺すった。
カリの部分が擦れ合い、腰が引けそうになる。
「どう?」
「しゃべるな」
吐き捨てられた言葉に余裕はない。
ただ口を開いただけだ。
蒼は触れる手の力を強め、速度を上げて健太を追い上げた。
「くっ……」
――かっこいいのに可愛いなんて、最高だよ。
目を閉じ声を押し殺す健太が堪らなく可愛い。他の人に聞かれたら否定されるだろうが、知っているのは自分だけでいいのだ。
「そろそろ、かな」
スパートをかけると、健太の濡れた瞳が縋るように蒼を見た。
「健太、好きだよ」
見開かれた健太の目を見つめながら、蒼は健太の唇に触れた。
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