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「何か言い訳があるなら聞いてやる」
「本当はセックスまでもっていきたかったです」
「言い訳じゃねえだろ」
頭を下げ軽く叩かれ、蒼は大げさに痛そうなそぶりを見せた。
上目遣いで睨むが効果はない。
「健太にちんこ挿したかった」
「全然反省してないな」
ため息混じりに言うが、怒りは治っているようだ。最終的には二人で気持ちよくなれたし、合意の上だったのだから当然だ、など口が裂けても言えないが。
「健太が好きなのは本当だよ。僕に余裕があったらどろどろのぐちゃぐちゃにして泣かせたいくらいだもん――痛っ!」
今度は思い切り叩かれ、あまりの痛みに頭を両手で押さえる。
「ったく、お前は……。お前は俺とどうなりたいんだ。セフレか?」
「違うよ! 恋人になりたいの!」
「恋人って、何すんだよ」
聞かれて、はたと考える。
「一緒に登校したり、休日出かけたり、部屋でえっちなことしたり」
「最後はともかく、今と変わらんだろ」
健太の言う通りだ。だが、蒼の中で明確な違いがあった。
「そうだけど、違うんだよ。気持ちの問題なの!」
今はまだある温度差も、恋人になれば同じになると信じている。嫌わないでいてくれるのは嬉しいが、やはりもっと心もそばに寄りたいと欲深くなってしまう。
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