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 青年は、自分の死を完全に受け入れられたわけではなかったが、このだだっ広い空間に居続けるわけにもいかない。しぶしぶといった様子で彼は赤鬼についていった。  前を行く赤鬼が言った。 「死者の世界では、まず裁判を受けていただきます」 「裁判?」 「ええ、死者の世界のどこで暮らすかを決める裁判です。ご存知かと思いますが、ここは大きく、天国と地獄の二つに分かれます」 「もしかして、閻魔大王の裁きってやつ? 生前悪いことした奴は舌を抜かれて地獄へ落とされるんだっけ?」  青年の背筋はぶるりと震えた。もし自分が地獄へ落ちて、苦しい思いをさせられたらどうしよう、と怖くなった。 「おっと、不安にさせてしまったようですね。でもご安心ください」赤鬼は快活に笑った。「裁判と言っても形式的なもので、ほとんどの人間は天国行きです。貴方の履歴を簡単に確認させていただきました。ご両親より早く亡くなってしまった部分で少し減点はありますが、それ以外は全く問題ありません。真面目で品行方正、犯罪歴も無し、裁判もすぐに終わるでしょう」 「そ、そうですか」  青年はほっと胸をなでおろした。 「ですが……」     
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