雪の精

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

雪の精

あの日、僕は感じた... その日は、僕が6歳で生まれて初めての雪が降った日。 「ユイト、外に来てご覧。」 お父さんの声だ。 「わあ!雪だわ...なんて綺麗なの...」 そしてお母さんの声もする。僕は外に出てみた。 ガチャ―― サクッという音がして、下を見ると、 そこには真っ白な雪が僕の足を埋め尽くしていた。 とてもふわふわしていて、まるで、雲の上に立っているみたいだった。 「お父さん、お母さん。これ、何?」 「そうか。そうか。ゆいとは初めてだったな。」 「ユイト。これはね、“雪”って言う自然に降るものなのよ。」 「ゆ、き?これが...?」僕は初めて見た雪に戸惑った。「触ってご覧。」とお父さんが言い、 積もっていた雪に少しだけ、触れてみた。 「わあ!!!すっごく冷たいけれど、ふわふわしてる!」僕が触った初めての雪は、 冷たくて何処と無く、寂しさを感じた。 「さ、ユイト。あなた。寒いし風邪ひくからお家に入りましょう。」「そうだな。よーし、暖炉で温まろう、ユイト。」 「...まだ外で遊んでる。」僕は寒くて早く家に入りたかった筈なのに、外で遊んでいた。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!