帰省

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 俺の地元は結構な田舎だ。  新幹線で一時間半。そっからローカル線に乗り換えて二時間。趣漂うローカル電車。ガラガラの車両。乗客はポツリポツリ。座り放題だ。俺はボックスシートに座り、外の景色を眺めてた。  車窓からの景色はビルやマンションが見えなくなり、低い住宅、大きな川を抜け一気にのどかな景色へ変わる。空はどこまでも広く、畑や田んぼ。森に林と二色の世界。時折ワンポイントで道や建物の人工物がアクセントで彩られる。  俺の住んでる所はここまで自然豊かな土地では無く普通に住宅街だけど、こうして景色を見ていると東京との距離を改めて感じさせる。  電車はまだまだのどかな風景の中を走り、簡素な駅へ静かに停まった。  男性がひとり乗り込んでくると、俺の席と向かい合う反対側のシートへ腰を下ろした。ちょろっとボックス席から顔を出し車内を見ると、隣のボックス席は確かに一人おばあさんが座ってる。でも車内は混み合ってるでもないし、他にも空いてる席は沢山あるのに。  まぁ、扉に近かったから入ってきた流れで……ってことなのかも。  だからと言って、座っていた俺がわざわざ席を移るなんて、あからさまでやらし過ぎる。俺の真隣に座ってきたわけじゃないし、狭いわけでもない。俺は気にするのを止めた。
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