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1.
転勤の初日。
僕はテレビのニュースを見ながら、会社へ行く支度をしていた。
テレビから「平成が終わる」という話題が流れてくると、僕は思わずパジャマを脱ぐ手を止めて、テレビに見入ってしまった。
平成が終わることは前々から知っていたし、目新しい話題でもない。でも、僕はこの「平成が終わる」という話が耳に入るたびに、どうしても気になってしまうのだった。
僕は昭和64年1月5日生まれ。ギリギリ平成生まれじゃない。
ギリギリ平成生まれじゃないからと言って、別に平成に生まれなかったことにコンプレックスを持っているということはなかった。でも、昔から周りに昭和64年生まれの人間がほとんどいなかったし、こうやって平成が終わる話題を聞くたびに気になってしまうということは、「平成生まれじゃない」ということに関して、何かしらの疎外感みたいな感情を抱いていたのかもしれない。
僕はしばらくの間、テレビのアナウンサーが平成の話題を話しているのに見入っていたが、ハッと我に返ってテレビを消した。
今日は転勤の初日だった。さすがに初日から遅刻なんてカッコ悪い。
僕は慌てて支度の続きを始めた。
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