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嬉し恥ずかしクネクネしているハムレットを、ランバートは思い切り抱きしめた。その手が僅かに震えていたのは、安心したからだ。緊張が解けて、途端に震えてきた。
「兄上、有り難う…」
「…うん」
伝えればとても静かに言ってくるハムレットが、背中をトントンと叩いている。普段はどうしようもないと思える兄が、今は頼もしく大きく感じられた。
「良かったね、ランバート。僕、お兄ちゃんとして頑張れて良かった」
とても柔らかく言ったハムレットに、ランバートはしばらく抱きついてしまっていた。本当に、ほっとしたのだ。
その後、エリオットも出てきたがその顔はなんと言えばいいか分からなかった。
蒼白となって震えているが、その瞳は燃えるような色をしている。怒りと憎しみに内面を焼かれているような、そんな深い負の感情があるのだ。
震えだって怖かったからなのか、怒りからなのか分からない。
「ハムレット殿、大変助かりました。有り難うございます」
「いいよ、平気。たまたまだし、騎士団は弟が世話になってるしね」
「情けない姿をさらし、恥ずかしいばかりです」
「それも分かるからいいよ。恋人なんでしょ? それなら動揺もするし、その割には冷静だったと思うよ。騎士団の医聖は伊達じゃ無いね。綺麗な手さばきで僕も楽しかった」
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