悲鳴(エリオット)

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「いえ、私はここにいます。私は騎士ではありますが、同時に医者です。その私が彼を放って自らの憎しみに飲まれては、誰がここを守るのです。それは、しません」 「ふーん、意外と冷静なんだね。でも、それならいいよ」  ニッコリ満足そうに笑ったハムレットは踵を返して歩き出す。手をヒラヒラ振っているから、おそらく帰るのだろう。 「ハムレット殿、後日改めてお礼させていただきます」 「いいよ、ランバートからもらったから。お大事にね」  そう言って、本当にいなくなってしまった。その背を見送り苦笑するランバートに、エリオットも苦笑した。 「本当に、美しい手さばきです。彼はとても鮮やかに縫合しますね」 「得意だと言っていますからね。あれで性格が良ければ、よい医者なのですけれど」  互いに苦笑してしまう。  消えていったハムレットを見送って、エリオットは手術室の隣にある処置室へと向かい、ランバートは難しい顔をしてきたファウストを出迎えて、一応の結果を伝えたのだった。
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