狙い(ファウスト)

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 ここで中止となればカールの面子を潰すばかりか、騎士団の力を疑われかねない。一度力の衰えなど見せればそれこそ、つけいる隙を見せる事になる。  シウスの視線が一人の人物へと注がれる。長い金の髪に切れ長の青い瞳をした、甘い笑みを浮かべる青年だ。 「ルイーズ、パーティーの配置はできておるな?」 「勿論です、シウス様。既に決まっている警備を問題なく回す事くらいは出来ます。会場で起こる事には対応してみせましょう」  近衛府副長、ルイーズは優雅にその長身を折る。それに、シウスもまた頷いた。  このルイーズという青年はプライドが高く完璧主義だ。人前で慌てる事など許せず、どこまでも優美で優雅な振る舞い、完璧な対応で貴族の受けがいい。  だからこそ近衛府にいる。それと同時に、ルイーズはオスカルの熱狂的なファンだ。 「オスカル不在の中、近衛府も混乱しておろう」 「実に不愉快な事です。近衛府を狙った事を心底後悔させてやらなければいけません。団長不在とて私たちはやれます。お客様への対応、混乱が起ころうとも収めてみせます。大いに、暴れて頂いて結構ですよ」  とても不敵に笑うルイーズに、ファウストとシウスも溜息をついて頼もしく見た。 「陛下の側には私がつこう。あの方の側が一番見通しが良い。オスカルの側にはエリオットがついておる。万一狙われても平気じゃ」     
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