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★ジョシュア
事件があったことなどおくびにも出さず、パーティーは華々しく開かれた。これに、ジョシュアは満足している。
実に良い対応だっただろう。
まずはヴィンセントの決断の早さと迅速なケアだ。事件を受けて人々が不安に飲まれる前に音楽隊を編制して急遽パレードが行われた。
不安は時間と共に深く広くなる。その前に人々の視線を華やかな物に向けさせ、音楽で高揚感を高めた。
やはりカール陛下の側に彼を戻した事は英断だった。多少のズルはしたが、その対価は十分だろう。
あの男は政治を知り、人心を知り、醜さを知り、情報を知る。故に的確に動けるのだ。
そしてカール陛下にも満足だ。
実に堂々とした振る舞いで客人を迎えている。個人となれば多少子供っぽい無邪気さを持つ主は、王の顔をすれば凜々しく堂々としている。決して弱さなど見せない。
ヴィンセントが側についたことで憂いもなくなったのか、最近ではより頼もしくなった。二十代後半、まだ若い主は間違いなく有能に育っている。
そして騎士団も満足な働きだ。
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