ある赤砂嵐の日に

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「おいおい、年甲斐もなく、なんか変な目薬でも差して『トンで』るのかよ? そりゃ、アンタが『ソッチ』系かもってことは、薄々、察し取らんでもなかったけど」 「『薄々』ですか」    何をどう発音すれば、そこまで厭味たらしく物が言えるのか、俺には全く理解できない声音で、嘲笑交じりのように店主が言った。 「自らの性的指向については、一切、隠すことなどしておりませんでしたが。そうですか、JJ。貴方、『薄々』くらいしか、お分かりではなかったと」 「いや……ともかく、だったら! いつも店番してる、あのやたら見た目のいいアンドロイドのガキを慰みモンにすればいいだろうが。そういや、今日はヤツの姿見てねぇな……ああ、それとも、なにか? アンタがヤッて『もらう』方かよ」 「それはないです。ザッカリーの設定は、常に『抱かれる』側ですから。それと、JJ。ザッカリーは『ガキ』ではありません。彼の年齢設定は二十二歳。私は決してペドフィリアではありません」  そうかいそうかい、アイツは店番「兼」夜の恋人(セクサロイド)だったのかよ、やっぱな。そうじゃないかと思うことはあったぜ……って。 「おい! やっぱアンタがヤル方か」 「まったくもって、話の分からない人ですね、JJ,貴方は。要は『黙って私に抱かれろ』ということですよ」 「断る」  もちろん即答だ。  大体、この俺に。      
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