ある赤砂嵐の日に

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 (3)    ……ぁ?  『身体で』って、どういうこった。 「なんだよ、星雲のはずれのエラルディン鉱にでも売り飛ばすってか」  自分で言うのもアレだが、確かに、俺の取柄は身長六フィート七インチ、ウェイト百九十五ポンドの頑丈でデカい身体くらいのもんだしな……。  だが店主は、「は?」とひと声。  ごくごく短い感嘆の……というか呆れ声というかなんというか。  ともかく基本的には、相当にケタクソ悪い応答を寄こしやがった。 「『鉱夫として売り払う』など。高性能かつ、安価で、休息も必要とせず、人間の数十倍の馬力を持つ専用人型(プロスマイナー)が普及している昨今。『人間』の鉱夫を使う鉱山が、宇宙広しと言えども、一体どこにありましょうか」 「う…」 「貴方なんぞ売り払ったところで、二束三文にもなりはしません」  このジジイ、めちゃくちゃキッパリ言いやがって。 「だったら……一体」 「ですから、その身体を『私』に捧げて戴きたいと。そう申し上げているではないですか、(せん)から」 「おいちょっと待て。っていうか、自分、何言ってるか分かってんのかよ」     
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