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「あれ、文化委員って葵だった?」
「……変わったんだって」
同じ文化委員の小野浦と並ぶ葵を意外そうに眺める凪に、美桜はため息を吐いて頬杖をついた。
「前にしてた人が転校しちゃったからって、先生に頼まれたらしいよ。本人は嫌がってたけど、えっちゃん真面目だから……よく、似合うよね」
「確かに。ああしてると先生っぽいよなぁ。小野浦とも仲良さげだし、いいなぁ、俺も委員すればよかった」
「凪はああいうの嫌いでしょーが」
「そうなんだよ、実際は頼まれてもやらない」
けらけら笑う凪に合わせながら、美桜は目を伏せる。
葵が先生の頼みを断ってさえいれば、なんて。
好意を抱いていることがおかしいと隠しているくせに、ふとした折に嫉妬心が顔を出してしまう。
全てを殺すことは、まだ出来そうにないや。
美桜は小野浦と並ぶ葵から目を背け、非モテになれと呪詛を吐く凪に少しだけ同調してしまった。
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