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「お、美桜はよー」
カタンと椅子を引いた美桜は、背後から掛けられた声に振り向いた。
「おはよ、凪。先に謝っとくね、ごめんなさい」
「は? なに、なんかされるの俺?」
借り物をしに来ていたらしい隣のクラスの友人を見送り、菅野 凪が眉間に皺を寄せる。美桜は横向きに腰を下ろして、黒板に書かれた日付を指差した。
「俺の出席番号デス」
「うわマジか……。えー、俺なんもしてないんだけど」
当たるかなぁ、当たるよなぁと。
不安そうな顔で肩を落とす凪に申し訳ないと眉を下げていた美桜は、
「さくら」
低い声の救世主を振り返った。
「えっちゃん! 凪、これで大丈夫だよっ」
「でかした美桜!」
「……お前らさぁ」
呆れて物も言えないと嘆息する葵からノートを受け取り、美桜と凪が頭を寄せ合う。葵は美桜の机に凭れ、必死に書き写す2人を見下ろした。
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