掌から零れ落ちたものは……

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 ホームを吹き抜ける風の寒さすら感じられないほど、心は満たされていた。    掌から零れ落ちた愛は想う相手に掬い上げられて、今詠史の掌で再び温かな光を宿している。  幸せを噛み締めて、もう二度と掌から零れ落ちることがないようにと、詠史はぎゅっと掌を握りしめた。
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