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掌から零れ落ちたものは……
青々と茂っていた木々の葉が色づき始め、重そうに首を垂れていた稲穂が刈り取られた田には、所々に晩稲の稲木干しが蓑を纏ったひとのような姿で立ち並んでいる。
そんな風景の広がる田圃の真ん中の小高い丘の上にある氏神を祀った神社は、普段の静けさとは裏腹にお囃子の音色が響くなか、香ばしい焼きとうもろこしやたこ焼きなどの食欲をそそる香りも漂い、楽し気な喧騒に包まれていた。
新嘗祭と言えば大仰に聴こえるが、豊作の感謝を込めた地元のお祭りで、地域住民の交流を兼ねたもので出店などもある。
都市からそう遠くないため、ベッドタウンとしての一面も持つこの町は、過疎化に悩む田舎町とは異なり子供の姿も多かった。
子供相手の出店も、地域の役員たちとその手伝いの者で成り立っている。
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