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落ち葉に覆われた地面に横たわる学校の青いジャージ姿の体は、見方によっては、まるで投げ捨てられたマネキンか、東京タワーの蝋人形のようだ。
その仰向けに倒れているマネキンを、いや魂が抜けた肉体を放心状態で眼にしているときだった。
「おめえ、やっちまったな」
どこかで聞いたようなセリフが、聞こえてきた。
その声の主に振り返った麻耶は、男の姿を見て一瞬息が止まりそうになるほど、恐怖に慄いた。
なぜなら、男は身の毛もよだつ恐ろしい姿をしていたからだ。
長い間、氷水にでも浸かっていたのか、水ぶくれ気味の血の気のない青い顔を前髪で半分近く隠した、定番の幽霊の姿をしていた。
それに加えて、鋭利な刃物で切断でもされたのか、首周りに糸で縫い合わせたような痕をつけて、ゾッとする眼で自分の顔を睨んでいた。
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