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廊下に出ると、男がもう話は終わったのか? という顔で待っていた。そしてまた手を取ると、今度は天井を擦り抜けて、空に飛び上がった。
瞳を地表に落とすと、子供病院が小さくなっていくのが見える。
由香がずっと長生きできることを願いながら、瞳を正面に向けた。
すると、またも天国ではなく、男は南西の空を目指していた。
右には、残雪が綺麗に残っている富士山が見える。
機内の窓から見たのとは違って、雄大な景色を独り占めしているような感じだ。
その眺めを過ぎると、東海、近畿、四国、南九州の山並みを超えて、男は南西の海上をジェット機のように飛んでいた。
そこに、コバルトブルーの美しい海に包まれた、緑の宝石のように点在する懐かしい島々が見えてきた。
ふるさとの沖縄だ。
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