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「真美、もう少しの辛抱だから。お兄ちゃんは、中学を卒業したら、高校にはいかない。働くつもりだ。そしたら、真美に好きなものを、腹いっぱい食べさせてあげられるよ」
暗い顔をしたままの妹の腕を掴んで話し終えると、ニコリと笑った。が、その笑った顔の眼は、どこか寂しそうだった。
「だって、学校に行ったら、臭いとか、バイ菌とか呼ばれて、毎日いじめられる」
喋ると、妹はボロボロと涙を流し出した。もういやだ、という顔をして肩をしゃくりあげ泣いていた。
兄は両腕から手を離し、泣いている妹の顔を悲しい眼で見つめていた。
「学校に行くぐらいなら、死にたい」
「馬鹿野郎!」
叱り飛ばす声と同時に、妹の頬を平手で叩いていた。
「あ、ご、ごめんよ」
兄はしまったという顔をして、すぐに謝った。すると、叩かれた妹は、泣きながら家を飛び出そうとした。
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