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「きゃー!」
悲鳴を上げ、すぐに逃げようとしたが、がくがくと体が震えるだけで、足が金縛りにでもあったように一歩も動かせなかった。
「ああ、この顔が恐ろしいのか。心配するな。俺はおまえを襲ったりはしない」
口をパクパクさせて、どうにか逃げようとしたとき、化け物幽霊がまた、氷のように冷えたきったような声をかけてきた。
「俺は、おまえを助けようと胸を押していた。おっぱいを触ったんじゃない。胸骨と脇腹を押して、首吊りを防ごうとしていた。だが霊には実体がないからな。おまえは、俺の体を擦 り抜けて首を吊った後、地面に落ちた」
その言葉を耳にして思い出した。
首を吊る前に、誰かに胸と脇腹を押されたような気がしていた。
それと、幽霊は変な言い訳をしていたが、胸骨と一緒におっぱいも、しっかりと手で押されてい たような感覚もあった。
この変態幽霊が、と怯えながらも蔑み、眼の奥で睨み返した。
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