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「どこに行くのだっ? もう外は暗い。叩いたりして、 ごめんよ。お兄ちゃんが
悪かった。だから、どこにも行くんじゃない」
兄は泣きながら外に出ていこうとする、妹の腕を外にいかせまいと掴んで、必死に宥めた。妹は言うことを聞かないとばかりに、腕を解こうとした。
「お兄ちゃんも、学校でいじめられている」
告白を耳にした妹は、動きを止めた。そして涙目で、兄の顔を見ていた。
「お兄ちゃんも、いじめられているの?」
蚊の鳴くような声で訊いてきた。
「ああ、お兄ちゃんも、学校の不良少年たちに、毎日いじめられている。真美のように、臭いとか、ゴミ人間とか言われているよ」
兄は、泣くのを止めた妹の眼を見つめたまま、重い口調で告白していた。
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