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いつだって冷静で余裕なこの男の前では、些細なトラブルでもすぐに顔に出てしまう自分がとんでもなく幼稚なんだと思い知らされる。
だから今後はどんなことがあっても冷静に対処できるようにならなければ……と、改めて思った。
だって、彼のような完璧主義者の妻になる人がいつも喜怒哀楽の激しい女だなんて、みっともないから。
親友の美子のように空気が読める人間になりたいと思う……けど、高柳の前ではどうにもうまくいかない。
「いつまで顔を隠しているつもりだ? 窒息するぞ」
「……もう少しだけ」
朝一番にみっともない姿を見られてなかなか引いてくれない顔の赤色は、いつまで経っても熱いまま。
そんな私を高柳は軽く笑い、息ができるようにひっついていた肌同士の距離を少しだけ開けた。
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