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「……い、言うんじゃなかったわ……」
横向きになって眠っていた身体をくの字に曲げ、また顔を両手で隠してしまう。
こんなの、さっきの比にならないくらい恥ずかしい……!
「……キミは、見ていて、本当に、飽きないな」
高柳の笑いをこらえている声が頭上から聞こえてくる。
そんな彼に八つ当たりのように、右胸を手でパチンと叩いてしまった。
「まだ……お、起きるには早いわ。眠ってもらって結構よ……!」
どうにかこの場の空気を変えたくて、眠くはないだろう彼に無理矢理の言葉を投げかける。
でも、高柳はまだ軽く笑っていた。
「そうだな。では、前みたいに目覚めのキスでもしてもらえるのを期待して、もうひと眠りしようか」
「馬鹿! そんなことしないわよっ!」
「期待しているよ。おやすみ」
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