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「ちょっと……!」
言うだけ言って私から離れ、背中を向けると高柳はもう一度眠りに入る体勢を作った。
その広い背中を見て「やだ、そんなことしないってば……! お、起きなさいよ!」と言っても、起きる気配はない。
それから軽く一時間は私一人で、悶えながら時間を過ごしたと思う。
ただ、いくら悩んでいてもモーニングの時間は迫り、早くしないと食事をする時間はなくなってしまう。
せっかくのスウィートルームのモーニングを食べないなんて、いくら裕福な家庭に生まれた私とはいえ、そんな勿体ないことはしたくない。
「い、一瞬だけよ……一瞬だけ……」
自分にそう言い聞かせ、昨夜、シャワーを終えた後に着たバスローブを羽織ってベッドを降り、彼の眠る顔が待つ方へと回る。
そこには高柳が寝息をたててちゃんと眠っていた。
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