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彼の硬く強い髪に触れ、手櫛で梳く。
ハラハラと落ちる髪の束の中に白色はなくてホッとした。
それと同時に、こんな心配をしている自分がツボに入ってしまい、笑いが込みあがってくる。
「やだわ……私ったら。別に白髪があってもいいじゃない」
クスクスと笑いながら彼のもとにそっと近寄り、恥ずかしさはあったけれど唇をしっかりと重ねた。
唇を塞いだから息がしにくくなった高柳は「んっ……」と唸り、体勢を横向きから仰向けに変えた。
あっという間に離れてしまった唇が寂しくて、ついもっと……とねだってしまいそうになる。
でも、それは高柳が目が覚めたことによりその時間は終わってしまった。
「……今、何時だ?」
「七時よ。起きましょう? 朝食が運ばれてくるわ」
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