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私は床に落ちていた彼が昨夜着ていたバスローブを取ると、すくっとその場から立ち上がった。
高柳は寝ぼけた頭を覚ますように、こめかみ辺りを手で押さえると左右に頭を振っていた。
「二度寝をしてしまったようだ」
「えぇ、随分と気持ちよさそうに眠っていたわよ。私が何を言っても起きなかったんだもの」
「……なにか言っていたのか?」
「さぁ?」
さっきも散々弄られたんだ。
これくらい仕返しをしたって罰は当たらないだろう。
私は鼻歌を歌うくらいご機嫌になり、彼にバスローブを着るようにそれを手渡すと手首ごと高柳は引っぱり、私はもう一度布団の波にのまれることとなった。
「きゃぁ! ちょっとなにするのよ!」
「なにを言っていたんだ? 俺の悪口か?」
「ち、違うわよ! そんなこと言うわけないでしょ!」
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