高柳&凛子夫婦のお話(1)

17/51
前へ
/576ページ
次へ
苦い顔をしたまま立ち上がり、彼はスタッフを迎えるため、渋々寝室を出て行った。 そんな高柳の後ろ姿を見送っていたら、笑いと残念な気持ちが同時に込みあがってくる。 そしてこんなことがとっても幸せと思える今が、すごく幸せな時間を過ごしていると心から感じていた。 私は乱れていたバスローブを整え、ホテルのスタッフが用意してくれた朝食がある部屋へと向かう。 そこにはふわふわのオムレツやカリカリに焼いたベーコンのプレートに、緑色がとても輝いている新鮮なサラダ、濃厚なコーンスープに五種類はある様々なパンが揃えられていて、季節のフルーツが盛られたデザートもある。 洋食をメインとした食事が用意されていて、珈琲の深く香ばしい香りが部屋に充満していた。 「洋食か」 見るからに美味しそうな食事なのに、高柳は少々不満げだった。
/576ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9843人が本棚に入れています
本棚に追加