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ホテルの朝食はどれも文句がないくらい全てが美味しく、このパンも明日の朝食用に買って帰りたいくらい素晴らしい味だった。
それでも高柳は物足りないのか、少々不満げだ。
「煙草を吸ってくる」
立ち上がりスウィートルームにあるソファに座りに行くと、すぐに煙草を一本取り出し火をつけた。
食後すぐの一服はどんな時でも欠かせないものらしい。
できれば身体にはあまりよくない煙草はできればやめてほしいけれど、彼がそれをやめることは、よほどのことがない限りあり得ないと思う。
「あまり吸い過ぎちゃダメよ」
「わかってるよ」
本当かしら? と珈琲を飲みながら心の中で反論する。
それでも煙草を吸う横顔は私にはこれ以上ないくらいのいい男に映り、悔しくて頬を膨らませてしまうほどだ。
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