高柳&凛子夫婦のお話(1)

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私が見惚れていることには気付かず煙草を早々に吸い終わると、彼は出勤準備を始める。 朝食と一緒に昨日の夜のうちにフロントに頼んでおいた着替え一式が届き、それに着替え始めた。 私はジャケットを手に取り、ネクタイを慣れた手つきで結び終えた彼の後ろに行き、ジャケットを広げ袖を通すのを手伝う。 そのタグは、メンズでもバッグやネクタイなどの小物系を得意とするブランド名が記載されていた。 「あら、ここのブランド、スーツも出したの?」 「知っているのか?」 「えぇ、昔プレゼント用に入ったことがあるショップで……」 「ほぅ、意外だな。男嫌いだったキミがメンズのブランドでプレゼントを選ぶなんて。誰に贈ったんだ?」
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