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____朝の六時。
どんなに疲れていても身体は時間を覚えていて、いつものように目が覚めてしまった。
でも、この日は目はしっかりと覚めたけれど、身体は痛みという悲鳴を上げていた。
「い……痛いわ……」
まるで全身筋肉痛のように身体が重くて痛い。
いや、これはようにじゃなくて、確実に筋肉痛の痛み。
私は自分の身体をこんなふうにした愛しい夫の顔をじろりと睨み上げた。
ホテルのスウィートルームのキングサイズのベッドに寄り添い合って眠っていた私達だから、見上げるとすぐそばに高柳の気持ちよさそうに眠っている寝顔がある。
憎たらしいくらいに可愛いその寝顔に一瞬見惚れそうになるけれど、彼のせいで痛みを伴ったこの身体のことを思うと、やはり睨み上げてしまった。
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