はじめてのデート

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神様!デートですよ! でも、デートはこんなに早いものなの!? 朝五時に、我が家にくる予定なのだ! 当然、三時起床。 …これって、どういうこと? 私、茫然自失。 服どうしよ! 持ち物どうしよ! ハンカチ持った? ああ、前髪が割れた! わたわたわたわあ ドタバタどたわあ! パニックになり、寝不足の頭を抱える。 ……昨日、眠れなかったから…嬉しくて…目が冴えちゃって。 で、朝5時ジャスト。 彼の車がやってきた。 車から降りる彼。 「おはよう、ごめんね、朝早くから……」 と言ったきり、じいーっと私を見る。 「あ、あの?な、なにか?」 動揺する私。 「…いや、 私服…… いつも通勤…… 綺麗な感じで大人っぽいのに……」 (あ、ああいうのが良かった?) 彼、口元を押さえてる。 心なしか頬が染まっている。 「いや、不意打ちに……かわいいというか」 わあ!真っ赤になってる。 車体にうつ伏せになり、 深い溜め息をついた。 「はああ…」 「…意外とかわいいんですね、桜月さん」 クスッと笑ったら、 恨みがましく振り返る。 「かわいいと言われて喜ぶ世代じゃあないんだ」 不本意ながら流し目になっていて、 (うっっ) 今度は私が慌てた。 その様子をわずかに首を傾げ、怪訝な表情。 理性的で端正で…ベーシックな……桜月涼夜さんに戻る。 「どうぞ」 助手席のドアを開けてもらう。 私が戸惑うと「後ろがいい?」と問われる。 「あ、隣で!」 慌てふためく私に、微笑む桜月さん。 足を揃え、緊張しながら乗り込むと 眼差しを溶かして、また微笑んでくれた。 「シートベルトしてね」 「はい」 そっと扉を閉める桜月さん。 車体の後ろを回り、運転席に座る。 (姿勢いいな) シートベルトを締めた後、私を振り返った。 「ごめんね、朝早くから」 「え、いえ////」 今朝の私の騒々しい様子は、とてもじゃないが見せられない。 「今から連れて行きたい場所は 世界で一番おいしい朝ご飯っていうホテル」 「…世界で一番?」 「そう」 桜月さんは頷く。
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