なんどもなんども思い出して

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彼の部屋……。白い天井が全く見えないくらい、視界いっぱいを彼の上体が覆っている。そのくらいの圧倒感だった。 「早織……」 ゆっくりと低い声で私の名前を囁かれ、私は潤んだ瞳で彼を見上げる。いつも「かわいい」と優しく伝えられる、あの眼差しと声は夜になると甘い凶器に変わっている。 「今日は早織が俺ね」 「…ぇ…?」 「早織が想像している俺がするように、俺にしてみて」 「…/////!」 悟った私は真っ赤になる。 白いベッドで組み敷いた形のまま、涼夜さんは片手でネクタイを緩める。目に眩しい純白のシャツに青い幾何学模様の細いネクタイ、そして長くて器用そうな美しい指、傷ひとつない手の甲に骨がうっすらと浮いている。緑色の血管が滑らかな皮膚の下で太く見えた。 まっすぐで艶やかな栗色の髪、その奥に涼夜さんの瞳が見え隠れする。いつもより強くて硬質な双眸の奥が濡れているように色っぽい。目尻までまっすぐな幅の狭い二重まぶたは切れが良く、まばらだが印象深い睫毛と白目のコントラストが効いている。 常日頃の穏やかで優しくてお兄ちゃんぽい雰囲気……それがまったくなくなると、涼夜さんはこんなにも怜悧に美しくなるのかと私は組み敷かれたまま、魅入っていた。 ベッドの右手は更に力がこもり、丁寧に折られているシャツの袖から涼夜さんの腕が見える。その体温と風合いも視線の横、そして私の頬から感じられる。 「シャツは脱がしてくれないのかな」 低く甘い声に私は胴ぶるいした。 小さく喉を震わせ、甘い吐息がこれからのことを妄想し、滴る声音で高く漏れる。 「…ゃ…」
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