はじめてのデート

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私たちは、私に似た、むくむくな子と散歩にした。 「早織」 不意に呼び捨てされる。 (え、ええ!?) 「お手!」 「わん」 「い、犬に私の名前ですか!?」 「かわいいじゃないか。 ほら、早織、走ろう!」 「わふ!」 リードを持ってはいるが もはや競争のように走る桜月さん。 海岸の砂浜を全力疾走する。 (な、なんて大人気ない) 「早織、おま、足早すぎだ」 「わふ?」 「おい、顔を舐めるな。ああ?うまいのか?」 「わふう」 犬を抱き上げ笑う桜月さん。 「犬好きなんですね」 「猫も好きだよ」 目が細められる。 「……普通に散歩しよっか。 早織も疲れたみたいだし」 「私の名前なんですね」 「まだまだ呼び捨てできないからね」 「…桜月さん」 「こないだ、涼夜って呼んでくれって お願いしたけど、定着してない」 「……涼夜さん」 「……早織ちゃん」 「…ちゃんですか?」 「さん、かな」 「……なくて良いです」 「早織……いや、恥ずかしいな」 彼ははにかむように笑う。 「慣れたらにする」 ゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。
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