はじめてのデート

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車で寝ちゃう。 うっすら目を開ける。 腕を組み、リクライニングを同じくらい下げた、シャツ一枚の桜月さん。 「おそよう」 ぎゃああああ! 「無防備なんだね。 びっくりしました」 ああああああ…やってしまった……。 「男の傍で、目を閉じるってどういうことなのか… わかってる?」 「あ、あの、ごめんなさい」 「こんなにシートを倒しても気づかないし」 「あ、あの……」 私にかけられているスーツの上着。 シャツ一枚の桜月さんは、筋肉が透けて見える。 「ふ」 不意に桜月さんが笑う。 「堪能した」 「ひゃい?」 「ぶ。ほっぺつついても、口開けて寝てたから」 「…ひゃいいい!?」 「……何されても文句いえないよ、あれは」 「い、言います!」 「何をされたら、どう言うの」 彼は優しく微笑んでるけど ちょっと……。 「頬を撫でてみようか」 そっとふれられる。 「これはクレーム対象じゃあないのかな」 「……」 気持ちいい……。 「また目をとじた。 ダメだろ」 詰る声が甘い。 額に降る、優しい…… 「…ぁ…」 ……これ、キス? 「目を閉じた罰」 かすれて低い声。 「これで懲りないと、お仕置きだからね」 「……眠っちゃってごめんなさい」 「いや……あどけなくてかわいかった。 見てる分には楽しいが 拷問に近かった」 「?」 「人間のオスなんでね。 本能を、大脳新皮質で覆うのが大変」 「?」 「苦悶した」 「?」 「テイクアウトしそうだった。わかる?」 「……えっと」 「うちにくる?」 「はい!」 「………」 何故か、どん引きしてる桜月さん。
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