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「カエル……」
思わず私の声が漏れてしまい、桜月さんの手が止まります。
「かえる?」
「……あ……え……あ……うん」
私は答えにつまります。
カエルプレイは嫌ですとか言っていいのか?ならば、カエルプレイ以外の何があるのか!!
「かえりたいの?」
「??」
“かえる”“かえりたい”→“帰る”“孵りたい”
カエル→おたまじゃくし?
私たちの間で、いくつかの単語が入り混じっています。
カエルの解剖ポーズについて熱く語りそうな勢いを止めるには充分な沈黙が数秒続きました。
色々と辛いです。朝の光は容赦なく私の幼児体型と体脂肪を浮かび上がらせるのであります。
そんなわけで、照れもあり、私は布団をガバッとめくり、とりゃあああああっと潜り込みました。
そして鼻を出そうとし、そんなに高い鼻じゃないから鼻だけ出せず、お目目も出して(でんでん虫みたいにキョロンとしたい気持ちを抑え、激しく動揺しています。脳みそが白いです。目が泳ぐ。そこに広がる桜月さんの胸板と上腕二頭筋です。眼福です。
やっぱり美しい人はいいですねぇ。寿命が延びますよ、あたしゃ。
「……」
が。
んが。
桜月さんは「帰りたいの?」という顔をしています。
そういえば最近疲れてますよね?みたいな、まるでお年寄りを見るような眼差しです。
幼児体型の上に骨粗鬆症のようなケアを受ける私……それ、恋人としてどうよ!婚約者としてどうよ!
あああああああああああああ
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