会うと離れたくない気持ち 会わないと会いたくなる気持

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お店に着いたら、 桜月さんがすでに待っていた。 優しく微笑む。 「おかえり」 「わ…わわわ!」 (お、おかえり……って! 結婚してるみたい?) 「た、ただいま」 上擦って呟いたら 桜月さんが目頭を押さえた。 (え…真っ赤になってる) お互い、少し動揺した。 「ご、ご飯、何食べよっか。 ここのリゾットおいしいよ」 「じゃ、じゃあそれで…」 ぎくしゃくぎくしゃく。 ご飯が運ばれてきたけど 緊張して食べられない。 「…」 なんだか、どうしたらいいかわからない。 (桜月さんが好き) 唐突にそう思った。 (今までは単にカッコいいなとか憧れだったけど) 逢えない日々が積み重なるにつれて 石をうがつように 少しずつ少しずつ つのる想い… (好きだ…桜月さんが…) 「ん?」 桜月さんが覗き込んでくる。 「具合悪いの?」 私は首をふる。 どうしたらいいのかわからない。 「つまんない?」 また首をふる。 下を向いていたけど 一度見つめたら目が離せない… 「熱でもあるのかな 心配そうな桜月さんの声。 額に手が伸びた。 「…ぁ…」 「熱は……」 彼は右手を私の額 左手を自分の額に置いて、 熱をはかっている。
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