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彼にキスをされた。
優しくて穏やかな唇。
硬めに見えてやわらかい。
唇に唇がふれ、離れる。
「……おやすみ」
「……帰っちゃうの……?」
「何を、殺し文句吐くかな……
キスから先って色々ある……だろ?」
「…」
「…俺は多分…激しいよ?」
「…?」
真っ赤になった桜月さんが、私の額に額をよせ、囁いた。
「反省しなさい」
「……なにに?」
「無茶ブリして、すみません、と言いなさい」
「……すみません……えっと…」
詰まった私に彼は甘い甘い微笑みを浮かべた。
「うちに今度、泊まりにおいで」
「…」
「パジャマパーティーだよ」
「…」
言った後、彼は苦笑いを浮かべた。
「なにもしません」
「?」
小首を傾げる私。
彼はため息をつく。
「こんな無防備なコにいきなり襲いかかるほど、ムゴいことはできない」
「…」
「まあ、説得力ないか。キス…だめだったか?」
「…」
首をふる私を下からすくいあげるように抱く桜月さんの逞しい腕。
優しくて、とてもあたたかい。
私も、うんと力を入れて、ギュッと桜月さんを抱きしめた。
そして高らかに言った。
「大事にするからね、桜月さん」
「そりゃ、俺の台詞だ」
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