パジャマパーティー

11/30
前へ
/384ページ
次へ
「早織ちゃん~」 桜月さんがお風呂場から頭をだしてきた。 「拭いて」 「わあ」 首だけ出してるけど肩が見えるの。 濡れた肌が…。 きゃ きゃあああ 真っ赤になりながら 震える手で頭を拭く。 (い、意外と剛毛、意外と黒い、意外と頭大きい、意外と固い、意外と…) きゃあああ どきどきどきどき。 「ありがとう」 彼はいたって冷静で 低く甘い声を残し 頭を引っ込める。 体を拭く気配がした。 (今、裸なんだ) 当たり前だけど。 「?」 桜月さんがバスルームから出てきて 立ちすくんでいる私を見ている。 怪訝な顔 上気した頬 体にフィットしているスウェットを下に履き、上はティシャツだ。 そのせいで贅肉のない体が浮き彫りになっている。 (綺麗なひと) 端正なオーラ。 「早織ちゃん」 「…」 桜月さんの顔が近づき、そっと私の耳にキスした。 「…っ////」 「俺からは何もしません」 そのまま耳朶に囁く低い声。 「でも早織ちゃんから仕掛けてみて」 「…////」 おずおずと顔をあげたら、鎖骨が見えた。 私よりずっと、がっしりしている。 風呂上がりの桜月さんは温かそう。 「////」 でも真っ赤になって立ちすくむ私を見下ろし 桜月さんは微笑んだ。 「ミネラルウォーターでも飲もうかな」 頭をつんっ、とされる。 行こう、というように肩に腕がまわる。 その熱さに私は、心臓を爆発しそうになる。 (桜月さんはおとこのひとだ) 男の人、だったんだ。 ソファーに座っても、そのまんま肩を抱かれ ちらりと横を見れば桜月さんの胸板があり 私はちんまりと固まるしかない。 どうしよう。 もう絶対眠れない。 (これは!いや!今がむしろチャンス!これが最後のチャンスだと思う!) 私は意を決して告白した。 「桜月さん!」 「?」 大きく深呼吸。 「カラムーチョ!食べませんか?!」 「?」 「湖池屋カラムーチョ……一緒に食べましょう!」 (ああ、これから寝るときになんてこと……)
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2974人が本棚に入れています
本棚に追加