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「早織ちゃん~」
桜月さんがお風呂場から頭をだしてきた。
「拭いて」
「わあ」
首だけ出してるけど肩が見えるの。
濡れた肌が…。
きゃ
きゃあああ
真っ赤になりながら
震える手で頭を拭く。
(い、意外と剛毛、意外と黒い、意外と頭大きい、意外と固い、意外と…)
きゃあああ
どきどきどきどき。
「ありがとう」
彼はいたって冷静で
低く甘い声を残し
頭を引っ込める。
体を拭く気配がした。
(今、裸なんだ)
当たり前だけど。
「?」
桜月さんがバスルームから出てきて
立ちすくんでいる私を見ている。
怪訝な顔
上気した頬
体にフィットしているスウェットを下に履き、上はティシャツだ。
そのせいで贅肉のない体が浮き彫りになっている。
(綺麗なひと)
端正なオーラ。
「早織ちゃん」
「…」
桜月さんの顔が近づき、そっと私の耳にキスした。
「…っ////」
「俺からは何もしません」
そのまま耳朶に囁く低い声。
「でも早織ちゃんから仕掛けてみて」
「…////」
おずおずと顔をあげたら、鎖骨が見えた。
私よりずっと、がっしりしている。
風呂上がりの桜月さんは温かそう。
「////」
でも真っ赤になって立ちすくむ私を見下ろし
桜月さんは微笑んだ。
「ミネラルウォーターでも飲もうかな」
頭をつんっ、とされる。
行こう、というように肩に腕がまわる。
その熱さに私は、心臓を爆発しそうになる。
(桜月さんはおとこのひとだ)
男の人、だったんだ。
ソファーに座っても、そのまんま肩を抱かれ
ちらりと横を見れば桜月さんの胸板があり
私はちんまりと固まるしかない。
どうしよう。
もう絶対眠れない。
(これは!いや!今がむしろチャンス!これが最後のチャンスだと思う!)
私は意を決して告白した。
「桜月さん!」
「?」
大きく深呼吸。
「カラムーチョ!食べませんか?!」
「?」
「湖池屋カラムーチョ……一緒に食べましょう!」
(ああ、これから寝るときになんてこと……)
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