アナタ

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「これ、使いますか?」  大学の人気のないところで泣いていたワタシに、彼はなんだかバツの悪そうな顔をしながらもハンカチを差し出してくれた。 「いえ、大丈夫ですから」  そう話した自分の声が涙で震えているのが分かり、なんとかこらえようとした。  けど、母を失った悲しみはそう簡単に引っ込んではくれなかった。  そんな私を見かねてか、彼は優しい眼差しのままで、 「大丈夫には見えないよ。僕でいいなら、話くらいは聞いてあげるよ」  そう言ってくれた彼を、ワタシはいつのまにか頼りにするようになっていった。
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