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「思い出してるよ。一回目のエッチのきっかけも。ふたりで居酒屋で飲んでたんだよな。お互い元カノの話をしてた。そのときに亘が『夏堀さんと別れたのって、俺のせいだよね?』って聞いてきたんだ。自信満々に」
「そうだった。有は魚みたいに口をパクパクしてたよな。『なんで知ってるんだよ?』って顔、もろにしてたんだ」
ふたりは目を合せて笑った。こうやって思い出を共有できることが嬉しい。
「一回目は痛がってたよな」
「痛かったけど途中から気持ちよかったよ」
それに、ひとつになれた喜びが凄まじかった。
「二回目は?」
「亘が俺の家について来たんだ。そろそろ二回目のエッチさせろって」
ムードもへったくれもない科白だったが、セックスは最高に気持ちが良かった。もう他の人とはセックスできないと思うほどに。
「三回目はどうだった?」
「ゼミの飲み会だったね。隣に亘が座ってた。ふたりでずっと喋ってた」
「そうそう。有はちょっとしか飲んでなかったのに、顔が赤くなっててホワンとしててさ。最高に可愛かったからホテルにお持ち帰り、だったな。あ、付き合ってたんだから、お持ち帰りは違うよな」
「付き合い始めたのは一月だよね。一月一日。夜中に神社に行って――」
話を途中で遮られる。亘が急に口づけてきたのだ。舌が痺れるほど絡ませて唾液を交換したあと、唇を離す。
「その話、長くなるだろ。俺が一番張り切った告白だったもんな」
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