the New Year's Day【Final episode】

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the New Year's Day【Final episode】

 新年を迎えたばかりの神社で、有と亘は甘酒を買い、がらんとした屋台の椅子に腰を下ろした。  有のマンションから歩いてこられる距離の神社は、あまり知名度がなかった。この時間でも参拝するのに時間はかからなかった。  甘酒の飲み口に一度口をつけたが、猫舌の有は湯気の熱さに怖気づいて、飲むのを諦めた。もっと冷めてからでないと無理だ。  隣に座っている亘に顔を向ける。 「石動はなにお願いした?」  有が尋ねると、亘が待ってましたとばかりに口を開いた。 「来年は恋人と初詣に行きたいって願った」  言われたとたん、有の胸は引き絞られるみたいに痛み出す。もうお前とは来たくない、と言われたみたいで悲しくなった。 亘が有の顔を見ずに話し続ける。 「来年もこの神社に、恋人とさ」 「この神社?」 「好きな子がここの近くに住んでるから」 「そうなんだ」  うまくいくといいね、と有は呟いた。でも亘とその好きな子が付き合ったら、もう自分はこの神社に来れないな、と思う。初詣で鉢合わせなんかしたら相当辛い。新年早々、暗いスタートを切ってしまう。 「穂村は?」  亘が自分に聞いてくることを予想していなかった。有は慌てた。     
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