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「今でも十分、安いだろ。相場の半額以下だ」
「そうだな。家賃は安いし、会社も近いし――ほんと助かってる」
亘には毎月三万円、家にお金を入れてもらっている。水道光熱費は毎月折半だ。
マンションのローンはないが、管理費や固定資産税は毎月払っているのだ。亘が恋人だといっても、タダで住まわせるのは甘やかしすぎだと思った。
亘が洗濯ものを畳み終えた。ソファから腰を上げ、キッチンにやってくる。
「俺は何をすればいい?」
「サラダの野菜洗ってもらえる?」
冷蔵庫からサニーレタスとミニトマトを取り出し、収納棚からステンレスのボウルを引っ張りだす。
「動きが手慣れてるな」
感心したように亘が言うので、有は少し照れた。
「高校のときから料理してるから」
「伯母さんは最近来ないのか?」
亘の問いかけに、有は頷いた。
「大学に入ってからは一度も来てない。ばあちゃんの介護で忙しいみたい」
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