self‐consolation R15

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 シュッシュ、とティッシュを箱から引き抜く音がした。やけにその音が、有の鼓膜に生々しく響く。有は気が付かない振りをして、逃げるように洗面所に入った。  ――こんなことするぐらいなのに、なんで、しないんだ?  自分のことを想いながら自慰をしてくれている――そのこと自体は照れくさいけど嬉しかった。エロ本やAVを見ながらされるよりずっといい。  脱衣所で服を脱いだとたん、自分も興奮していることに気が付いた。股間が熱い。兆している。  すぐに風呂場に入ろうとして足を止めた。洗面台の棚に置かれたボトルに目が向く。シェービングのあとに使う保湿用の乳液だった。  ――おまえの方だよ。覚悟ができていないのは。  急に朝言われた言葉が、耳に蘇った。  どういう意味なのだろう。彼の口調は断定的だった。  有は乳液のボトルを手に取り、浴室に入った。受け入れる側でもいい、と言ったものの、実際に自分の体を弄ったことはなかった。彼としたいのだ。だったらそのときのために、自分で体を慣らしておいたほうがいいのかもしれない。  体と頭を洗ったあと、有は意を決して、自分のそこに指を入れてみることにした。     
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