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立った状態で壁に凭れる。右の人差し指に乳液を垂らし、排泄にしか使っていない部分をそっと押した。意外と抵抗感はなかった。体から力を抜き、ゆっくり中に差し込んでいく。無意識に深呼吸を繰り返していた。
異物感はあるが、痛みはなかった。指一本ぐらいなら、こんなものなのだろう。日ごろもっと太いものを排出しているわけだし。
気が楽になった。指の付け根まで挿入しても軽い圧迫感があるだけで、痛みは一切ない。調子にのって、指を挿入したまま肛門に力を入れてみると、指の感触がダイレクトに腰に響き、生ぬるい快感が性器に走った。
――嘘だろ。初めて弄ったのに気持ちいいとか。
驚きと恐れに襲われ、有は慌てて指を引き抜いた。
――俺って素質があるのか?
嬉しいような、怖いような、悲しいような。
複雑な心境になりながら、有は浴室を後にした。
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