Honest

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翌朝、九時を過ぎても亘は起きてこなかった。 「亘、起きてる?」  一応声をかけてから、有は亘の部屋に入った。 「うわ」  有は思わず声をあげていた。  室内は酒とニンニクの臭いが充満していた。 「どんだけ飲んだんだよ」  鼻を摘みながら、ふたつある窓を開けて換気する。十二月の冷たい風が、開け放していたドアに向かって吹き抜けた。 それにしても――と、ベッド周りの床に積まれた本やら、脱ぎ散らかした服、靴下を見下ろして、有は呆れのため息を吐いた。  亘の部屋にはここ一か月入っていなかったが、その間にここまで汚れるとは。  もともと亘は整理整頓が得意なほうではない。それでも、足の踏み入れる場所がなくなるほど、床に物を置いてはいなかった。今までは。 「亘」  名前を呼ぶと、亘が唸りながらベッドで寝がえりを打った。布団を巻き込んで寝ている姿は、相変わらず土管のようだ。 「二日酔い?」 「――そうみたいだ。頭が滅茶苦茶痛い」  籠った声が聞こえてくる。本当に調子が悪そうだ。 「じゃあ、スポーツドリンク持ってくるよ」 「お願いします」  恐縮したように敬語になる亘に、ちょっと笑ってしまった。     
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