ex-girlfriend

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 幸いなことに、有には恋の相談にのってもらえる相手がひとりいた。大学のときに付き合っていたことがある女性――夏堀真紀だ。彼女とは大学を卒業してからも、月に一二回、会社の昼休みにランチを共にしていた。有と真紀の会社が偶然にも目と鼻の先にあったのだ。  オフィスビル街の隙間に埋もれるように立っているレストランで食後のコーヒーを飲みながら、有はここ数か月の間抱え込んでいる悩みを口にした。 「ふーん。まだ何もしてないんだ? 意外」  真紀がコーヒーカップを受け皿に戻し、両手をテーブルの上に載せた。  有はなんとなく、彼女の指に視線を向けた。彼女の爪には、ベージュとゴールドのマニュキアが交互に塗られていて光沢感があった。小さいラインストーンも散りばめられている。大学のときも彼女はネイルアートをしていたがこんなに出来栄えの良いものではなかった。 「ネイルの腕、上がったな」  有が彼女の手を指さすと、「違う違う。サロンでやってもらったんだ」と彼女が言う。  お互い社会人になって七カ月弱。経済的に余裕が出てくる頃かもしれない。 「石動くんとあんまりうまくいってない?」     
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