the 15th of March

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片付けを終えたあと、それぞれのシングルベッドを運び、くっつけて並べた。 「急に同棲してるって感じになったな」  腰に両手を当ててベッドを眺めていた亘が、心なしか嬉しそうに笑った。  有は亘に微笑み返したあと、自分のほうのベッドの端に腰を下ろした。四時間ぶっ通しで部屋の片づけ、掃除、家具の移動を行ったのだ。疲れている。 「有は嬉しくない?」 「嬉しい」  間髪入れずに返事をする。本当に嬉しい。 「顔があんまり嬉しそうじゃないけど――まあ仕方ないよな。親御さんの形見、盗まれてたんだから」  亘が慰めるように、有の前髪をさわさわと撫でた。 「これからどうする?」 「どうもしない。具体的に何を盗まれたかもわからないし」  ブランドのバッグも宝飾品も、それなりに資産価値があったのかもしれないが。有にはどうでもよかった。 「形見っていっても――母さんが死ぬ間際に買い込んだものばっかだったし」  話しているうちに、胸が絞られるように痛んだ。急に切なくなる。  ――宝くじなんか当たったから。  普通の暮らしができればそれでよかったのだ。大金を手に入れて、母も父も――何もかもがおかしくなった。  有は思考を中断させた。これ以上考えると気が滅入っておかしくなりそうだった。 「鍵は替えるよ」     
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