the 15th of March

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 今日中に、鍵取り換えの専門業者に電話しようと思った。 「有」  亘が有の隣に座ってくる。ぎしりと音が鳴る。無言のまま、亘が有の両手を軽く握った。有は亘の肩に、そっと己の頭を載せた。触れた場所が温かくなる。そこで初めて、自分の体が冷え切っていることに気が付いた。 「この時間になると寒いよな。そろそろ夕飯作ろう」  有が体を離そうとすると、亘の腕が追ってくる。腰に手を回され、ぐいっと引き寄せられた。唇が触れそうになるほどの近距離で見つめ合った。亘の目に、焦れたような熱が灯っている。 「もっと甘えろよ。せっかく傍にいるんだから」  瞬きもせずに、亘がじっと有を見つめてくる。目を逸らすことを許さない、とでもいうように。 「甘えてるよ。充分」 「じゃあ、もっとだ」  抱きつかれ、ベッドに押し倒され、有は仰向けになって寝た。覆いかぶさってくる亘の背中に腕を回して、目を閉じる。 先の行為を促すことはしない。 「亘は、したいと思わない?」  有は静かに尋ねた。自分のなかに焦燥はなかった。 「したいよ。でも今はダメだ」  ――今は? 「もっと信じてほしいから。有に」 「――信じる、って」  途中で声を遮られた。亘の唇によって。  彼が何を気にしているのか分からない。     
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