the 15th of March

13/13

693人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
 亘の舌がするりと、遠慮なく入ってくる。ねっとりと絡んでくる舌に応えながら、頭のなかで数字を一から数えた。下腹に熱が集まらないように編み出した有なりの対処法だった。亘の下肢が密着してくるが、有は寂しくなるだけだった。彼のそこは反応していない。  ――本当にしたいと思ってる?  こんなに近くにいるのに、肌を合わせることができない。亘には亘なりの、できない理由があるようだが、有に理解できるようには教えてくれない。いつも曖昧な言葉でごまかされる。無性に寂しくなって、有は一際強く亘の体を抱きしめた。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

693人が本棚に入れています
本棚に追加