reminiscence2『persona』

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 自分とは正反対だと思った。有はあらかじめ決まったことを従順に遂行するほうが楽なのだ。 「でも、頑張り過ぎなんじゃないの」  疲れた、と口を突いて出てしまうほどには。少し亘のことが心配になった。 「じゃああとでレジュメ作るの手伝えよ」  ちょっと意地悪い笑みを浮かべて、亘が有の肘をぐっと押してきた。 「やるよ」  有は素直に答えた。いつもゼミの活動では、亘にまかせっきりだった。彼に対し、後ろめたさのようなものがあった。 「手伝うってのも変だろ。一緒にやろうよ」 「どうしたんだ? 急にやる気になって」  亘が可笑しそうに有の顔を覗き込む。 「さっき疲れたって言ってたから」  話しているうちになぜか分からないが気恥ずかしくなった。語尾が尻すぼみになる。 「ありがとう、気遣ってくれて。でも無理してるわけじゃないんだ」 「損な役割とか、思ってない?」 「思ってない。俺にうってつけだと思う。リーダーは。――ほら、あの水まき用のホース」  急に亘が、前方を指さした。そこには花壇に水を撒いている用務員の男がいた。彼は水道から引いて来た長いホースを握っている。 「あれがただの太いコードだったら困るだろ」  亘が当たり前のことを言った。 「そうだね。水を撒けないね」     
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